3年前のご相談時
お客様から最初にご相談いただいたのは約3年前でした。外壁の浮きを気にされており、調査に伺いましたが、敷地がお隣様に近接しており、足場の設置にはお隣様のご協力が不可欠な状況でした。当時の外壁は緊急性が低かったため、もし工事を行うのであれば、一度に屋根と外壁全体を改修する方が効率的であり、費用対効果も高いことをご説明し、将来的なご提案とさせていただきました。

Before 今回のご相談
雨漏り調査開始:複数の要因が絡み合う劣化を発見
今回は「壁に染みが出来ている。雨漏りかもしれないのでまた一度見に来てほしい」とお問合せをいただきました。
お伺いすると2カ所の雨染みを確認しました。今回の雨漏り調査で、目を引いたのは外壁目地のシーリングの激しい劣化でした。しかし、詳細な調査を進めるにつれて、問題はさらに複雑であることが判明しました。サッシ周りにも深刻な亀裂が複数確認され、当初これらの2箇所が雨漏りの主な原因ではないかと推測しました。


単なる補修では不十分?外壁全体の劣化状況を診断
もしこれらのシーリング劣化のみが原因であれば、ご提案は比較的簡易な①シーリング打ち換えと外壁塗装で済んだかもしれません。しかし、詳細に調査を進めると、外壁全体にわたるひび割れが予想以上に多いことが判明しました。さらに、以前から定期的に確認していた外壁の浮きが徐々に進行していることも見逃せませんでした。
これらの複合的な劣化状況から、表面的な補修だけでは根本的な解決には至らない可能性が高いと判断しました。



お客様との徹底的な話し合いを経て、最適なご提案を
私たちは、お客様の大切な建物を長期的に守るため、より確実な解決策が必要だと考えました。そこで、②外壁の張替工事も視野に入れ、お客様へご提案。
お隣様にもご協力いただきながら、お客様とは何度も詳細な打ち合わせを重ねました。ご予算、今後のご要望、そして建物の現状を総合的に判断し、最終的にお客様にとって最適な外装改修工事をご提案させていただく運びとなりました。
After
外壁の解体を進めていくと、想像していた通り、内部に雨水が浸入した形跡がはっきりと確認できました。 しかし、幸いなことに下地の柱などの木下地には腐食が見られず、構造体としてしっかりと健全な状態を保っていたため、胸をなでおろしました。



木下地の補強と防水処理:直貼り工法選択の背景
まず、健全だった木下地に対して適切な補強を行い、その上から透湿防水シートを丁寧に敷設しました。
本来であれば、この防水シートの上に胴縁(どうぶち)と呼ばれる下地材を取り付け、外壁材との間に空気層を設ける「通気工法」で施工することが、建物の耐久性を高める上で最も推奨される方法です。しかし、今回の建物は敷地いっぱいに建てられており、隣地境界との関係で胴縁下地を設けるスペースを確保することができませんでした。
そのため、状況を総合的に判断し、今回は透湿防水シートの上に直接、外壁材を施工する「直貼り工法」を採用する運びとなりました。





外壁張り替え工事が完了!次はシーリングと雨樋工事へ
全ての外壁の張り替え工事が無事に完了しました!新しい外壁が建物の印象を一新し、雨漏りの心配もない、安心できる状態へと生まれ変わりました。
次回は、この新しい外壁の耐久性をさらに高めるためのシーリング工事と、雨水を適切に排水する雨樋(あまどい)工事に進みます。
引き続き、施工の様子を詳細にご報告しますので、どうぞご期待ください!

