20〜30年で考える住まいのメンテナンス②|「今安い工事」が一番得とは限らない

20〜30年で考える住まいのメンテナンス②|「今安い工事」が一番得とは限らない

前回は、屋根や外壁のメンテナンス時期について書きました。

今回は、実際に工事が必要になったときの「工事の選び方」についてです。

見積もりを取ると、どうしても最初に目に入るのは金額だと思います。

同じ屋根工事でも、

「こちらは100万円、こちらは150万円」

となれば、100万円の方が得に見えるのは当然です。

ただ、住まいのメンテナンスについては、今回の工事費だけで比べると、本当に得なのか分からないことがあります。

私は、今いくらかかるかだけではなく、この先20年、30年で何回工事が必要になるのかまで考えることが大切だと思っています。

① 今回の工事だけを見ると、安い方が得に見えます

例えば屋根の状態を見たときに、
・今回は塗装で延命する
・カバー工法で改修する
・葺き替える
いくつかの選択肢が出てくることがあります。
当然、最初にかかる金額は同じではありません。

工事の見方考えること
今回の工事だけで考えるどの工事が一番安いか
20〜30年で考えるこの先何回工事が必要になるか
建物全体で考える屋根・外壁・防水などをいつ施工するか
住み方まで考えるあと何年住む予定なのか

ここで大切なのは、高い工事をすればいいという話ではありません。

まだ使えるものは使えばいいし、部分的な補修で十分なら、それでいいと思っています。

ただ、数年ごとに同じような補修を繰り返すのであれば、一度しっかり直した方が、長い目で見ると費用を抑えられる場合もあります。

② 足場も20〜30年で考えると見え方が変わります

屋根や外壁の工事では、工事そのもの以外に足場が必要になることがあります。

例えば、

今年は外壁。

5年後に屋根。

さらに何年か後に雨樋。

それぞれの時期だけを見れば、その工事だけをする方が安く見えます。

ただ、そのたびに足場が必要になれば、同じ家に何度も足場を組むことになります。

ですから私は、屋根の相談を受けても屋根だけを見るのではなく、外壁や雨樋なども含めて、

「次にどこがメンテナンス時期を迎えそうなのか」

を考えるようにしています。

ただし、ここでも何でも一緒に工事すればいいわけではありません。

外壁がまだ十分使えるのであれば、足場代だけを理由に今工事するのは、逆にもったいない場合があります。

まとめる方が得なのか、今回は分ける方が得なのか。

そこを建物ごとに考えることが大切です。

屋根と外壁の工事時期が近い場合は、足場を一度にまとめられるかも含めて考えます。

③ 「あと何年住むか」でも答えは変わります

これも私は大切だと思っています。
同じ築年数、同じような劣化状態でも、
・これから30年住む予定
・あと10年くらい住む予定
・将来建て替える予定
・子どもに引き継ぐ予定


では、選ぶ工事が変わって当然です。
これから30年住むのであれば、少し先まで考えて耐久性を重視する意味があります。
反対に、あと10年程度と考えている建物に、30年先までを想定した工事が本当に必要なのか。
そこまで考えないと、本当の意味での費用対効果は分からないと思います。

今後の予定メンテナンスで考えたいこと
長く住み続ける今後の工事回数や耐久性も考える
10年前後を予定必要以上の工事にならないか考える
建て替え予定がある建て替えまでどう維持するか考える
次世代へ引き継ぐ長期的な維持計画を考える
屋根カバー工法 施工前
屋根カバー工法 施工後

④ 一番安い工事が正解のこともあります

「今安い工事が一番得とは限らない」と書くと、

「結局、高い工事を勧めたいのでは?」

と思われるかもしれません。

でも、そういう意味ではありません。

建物を確認して、

「今回はここだけ直せば十分です」

「まだカバー工法までは必要ありません」

「塗装でもう少し延命できると思います」

という判断になることもあります。

必要以上の工事をしないことも、費用対効果の一つです。

私は、一番高い工事を選ぶことが正解だとは思っていません。

一番安い工事を選ぶことが正解だとも思っていません。

その建物と、これからの住み方に合っている工事を選ぶこと。

結局はそこだと思っています。

⑤ 一つの工事ではなく、20〜30年の流れで考える

屋根なら屋根。

外壁なら外壁。

一つずつ考える方が分かりやすいのですが、家はそれぞれが別々に存在しているわけではありません。

屋根、外壁、雨樋、防水、シーリング。

それぞれにメンテナンス時期があります。

だからこそ、

「今回何をするか」だけではなく、「次に何をすることになりそうか」まで考えておく。

それだけでも、メンテナンスの考え方はかなり変わってくると思います。

嵯峨野ワークスでは、目の前の工事だけではなく、建物の状態や今後の住まい方も聞きながら、できるだけ先を見てご提案するようにしています。

もちろん、20年先、30年先を正確に予測することはできません。

ただ、

「今これをすると、次はこの辺りが必要になりそうです」

「今回はここまででいいと思います」

と、ある程度の道筋を考えておくことはできます。

私は、その方が結果的に無駄な工事を減らしやすいと思っています。

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