2000年前後のスレート屋根パミールにご注意下さい
皆様、スレート屋根について、どのようなイメージをお持ちでしょうか。
瓦よりスッキリとしていて、軽く、扱いやすい。そして耐震。
特に洋風の建物には使われる事が多い屋根材です。
しかし、2000年前後(特に1996年~2008年)に使用されたスレート屋根について、業界では非常に問題視されています。
特にニチハというメーカーの「パミール」というスレート屋根をご使用されている場合、すぐにでもご連絡を頂きたいです。
スレート屋根について
天然の岩石を加工してできた「天然スレート」と、それに似せて作られた人工の「化粧スレート」があります。
天然スレートは、確かに美しいのですが、非常に高価で日本の住宅ではほとんど使われていません。
人工の化粧スレートについては、スタイリッシュな見た目、加工のしやすさ、軽量である事、などから、多く使われてきました。
素材はメーカーがそれぞれ独自に研究開発しており、さまざまな種類が存在します。
したがって、「スレート」とひとくちに言っても、耐久性などに大きく違いがあるのです。
問題点①アスベストが使われていた
1990年代に大きな健康被害が問題になるまで、アスベストは断熱性や耐久性に優れた素材として、屋根材である「スレート」にも多数使用されていました。
スレートの耐久年数は、20年程度といわれていますので、すでに解体、撤去がお済の場合が多いかもしれませんが、やはりまだ多く存在しています。
この「アスベストを含むスレート」を使われている場合、撤去には特別の処理費用がかかり、思わぬ出費となってしまいます。
しかし、これをいつまでも残しておられるのも、大変危険です。
例えば、スレートの一部がひび割れると、内部のアスベストが飛散します。
これらは住宅に簡単に入り込みますので、お住まいの皆様の健康を脅かしてしまうのです。
古いスレート屋根を使われている、という方がいらっしゃったら、是非一度ご連絡をください。
問題点②ノンアスベストにした事で・・・
では、メーカーがアスベストを使わなくなった2000年頃のスレートだったら大丈夫なのでは?
と、お思いかもしれませんが、実はこちらがまた大問題なのです。
各メーカーは、アスベストが社会問題になったことで、アスベストを含まないスレートの開発を急ぎました。
おそらくそれが原因なのですが、2000年頃に使われたスレート材の中には、耐久性が非常に低いものが存在しています。
メーカーの「(保証はしませんが)耐久年数20年」というのが全くあてにならず、10年にも満たない年数で、屋根材に「はがれ」や「欠け」が出てしまい、葺き替えや重ね葺きを余儀なくされるケースが出ているのです。
特に、外壁材で最大手であるニチハというメーカーの「パミール」という屋根材は、いち早くスレートからアスベストを除去した、という事で話題にもなり、当時、ニチハの外壁材とセットで使用された建物も多くありました。
しかし、開発を急ぎ過ぎた為なのか、耐久性のチェックが杜撰だったのかもしれません。
工事から7~8年ほどで、スレート材がミルフィールやパイ生地のように、何層にも分かれ、それがパリパリとはがれ始めます。
その状態がひどくなり、欠けが生じ、雨水の侵入にもつながりますし、風の強い日に屋根材が落ちてくる、という大変危険な状況になってしまいます。
我々、建材を使用する職人は、メーカーの品質を信じて、よりよい建材をオススメしているわけですが、特にこういった耐久性については10年経ってみてやっと実態がわかってくる、という怖さがあります。
新しい素材がいいと思ってしまいがちですが、しっかりと実績のある建材を利用する事を心掛けたいと思います。
うちのスレート屋根はどうしたらいい?
ご自身で判断せず、ぜひ一度、点検を受けられて下さい。
特に2000年前後に建てられた建物の場合、パミール(販売期間:1996年~2008年)を使用されている可能性もあります。
いずれにせよ、スレート屋根の耐久年数は20年ほどですので、そろそろ点検を受けられた方がいい時期でもあります。
パミールだった場合、あいにく塗装によるリフォームはできません。もし、塗装をすすめてくる業者がいれば、注意してください。
高額にはなってしまうのですが、重ね葺きをするか、状況によって葺き替えが必要になります。